教えたことを覚えてもらうには


人に教えることを職業にするとぶち当たる壁が幾つもあります。
理解してもらえたのだろうか、
前回話たことは覚えてもらえたのだろうかなど。

これは、生徒一人一人、示す態度が違うので、
決めつけずに、対面で確認して聞く必要があります。

教えたはずのことを忘れてしまっている、
1度や2度ならまだしも、
重要だからと何度も言ったけど覚えていないとなると困ったもの。

生徒の頭の悪さと言いたいところですが、
ちょっと待って!教師側の教え方に問題があるのかもしれません。
覚えてもらえてないことが分かったら、
あなたの教えて方を見直すチャンスでもあります。

記憶方法を変える

人の脳の記憶量は限られます。どれだけ賢い人だって、
教師が講義中に話た一言一句覚えているはずがありません。

また、文法なん文字ただ暗記するなどの単調な作業では短期記憶という、
数時間~数日の記憶にしかなりません。

長期記憶のように長期間記憶するためには体で覚えるということが必要なのです。

例えば興味のある映画は1度見たら、
だいたいのストーリーや主人公、
好きな俳優が出ているなどは長く記憶に残りますが、
定期テスト前に徹夜して
覚えた文法などは大人になって忘れることが多々あります。

このことを踏まえると、
語学のマスターは長期記憶にとどめる必要があります。
つまらない講義をしていませんか?

単調で、ひたすら文法や漢字・平仮名を羅列する、数日後に暗記テスト。
それではなかなか頭に記憶として残りません。

生徒側も、ただ記憶するだけになり、
何の関連も分からない単語をやみくもに暗記する、
これほどやる気がなくなる勉強は身になりません。

ですので、相手の興味がわく話題や比喩を用いて、
まずは理解させることが大事です。

勉強もスポーツもなんでも反復が大事

次に覚えてもらう方法としては、反復です。

どれだけ頭の良い人でも1度見ただけで覚える、
なんて超人は滅多にいません。
何度も何度も繰り返しが必要なのです。

この反復ですが、1回の回数を長い時間かけるのではなく、
1回の回数は短くても良いので、
毎日毎日繰り返す方が記憶に定着しやすいのです。

そうやって覚えた記憶は、日数が経過しても覚えているものです。
九九や簡単な数式は割と大人になっても覚えているものです。

反復で覚えた文法や単語は使うようにしましょう。

覚えるだけではなく、実践して記憶に残します。
そうすることで、さらに記憶が定着されます。

その場の暗記だけをさせると、一夜漬けで覚えた百人一首のように、
使わないと、テストが終わったら綺麗さっぱり忘れてしまいます。

面白く記憶に残るような講義にすると
その話とセットで覚えられるので定着しやすいです。

教師側からすると毎回毎回の講義で話題を見つけたり、
面白いネタを用意しておくのは大変ですけどね。

好かれる教師とは

好かれたいと思う


日本語教師だろうとなんであろうと教師である限り、
生徒に好かれる教師でありたいとは誰しも思うことですね。

人に好かれるというのは、
難しく100%好かれるというのは難しいのですが、
しかし、好かれる教師というのはその好かれるとは少し違い、
うまく教えるスキル次第では、100%に近いかたちで好かれます。

日本語教師の仕事は、外国の人に日本語を教えるということがメインのスキルです。

私たち、日本人だって最初から日本語がマスターできたわけではありまえん。
両親や近隣、学校など、生活を通じ、長い年月をかけて今に至るわけです。

1つ違うのは、日本語をマスターする人は
既に日本語以外の母国語を知る能力があるということです。

幼少期の柔らかい頭ではなく形成された能力を持っているということです。

その分、少し教えにくい部分があるのですが、
それでもうまく教える人こそが好かれる教師なのです。

好かれる教師のスキルとして必要なのが、
誰しもが日本語を理解できるように教えることができる。

これは必須であり一番難しいのですが。
1つ教えて10理解する人もいれば、
1理解するのに時間がかかる人もいます。

個人差があり、この能力は日本語を教えるに限ったことではありません。
丁寧に、分かり易く、適格に。

それを相手によってうまく使いわけて教えることができますか?
次に必要なスキルは、飴と鞭をうまく使い分けるスキルです。

優しいというのと甘いというのは違いますし、
例え褒めることが良くても、
むやみやたらに、毎日褒める続けることをしていては、
なめられますし、それで日本語が上達しません。

かといって出来ないことに対して怒ることもダメな教育です。
飴と鞭を上手に使いわけることが必要です。

好きもモチベーションのうち

次に生徒のモチベーションを引き立てたり、
持続させるための努力をするスキルです。

何かをマスターしたり、勉強したり、仕事をしたり。
何にしても、モチベーションは大事です。

それが有るときと無い時のパフォーマンスは全然違いますよね。
教師や上位者にとって、生徒や部下などのモチベーションを維持は必要です。

褒めることもそうですし、楽しいイベントを催すなど、
ワクワクする、それでいて、学びも兼ねられるとグッドです。

これらが自然とできると、好かれる教師になれますし、
生徒の日本語上達が早くなります。

また、教師も1人の人間で神様ではありませんが、
しかし、生徒1人1人に対して分け隔てなく、
人種や性別、性格関係なく分け隔てなく接することで、
生徒からの信頼もあついくなるので、好かれる教師になります。

教えることだけが仕事と思わずに、
生徒のことを第一に考えることのできる教師が理想的ですよね。
日本語教師に限らずです。

質疑応答の時間を作ろう

生徒は色々


相手が子供であろうと、大人であろうと人に何かを教えるというは大変。
人それぞれ理解の仕方やスピードも異なるわけです。
ましてや日本語教師となると。

子供の場合、記憶が早く柔軟なので理解力もあるのですが、
成人以降となると、それまで培ってきたものがわるためどうしても偏ってしまいます。

日本語を学ぼうとする多くの外国人はすでに母国の言語を知っているので、
母国と対峙しながら日本語を理解していくことになります。

先生になりたくて日本語教師なった人は特に危険です。

というのも、その気持ちが先行しすぎてしまい、
一方的な教え方になってしまいます。
日本語教師の役目は、一方的に日本語を教えることではなく、
相手が理解して実用できることが最終の目標です。

教えるだけじゃなく、たまには聞いてみよう

そこで必要なのが生徒に質問をさせるということです。

ある程度理解しないと質問や疑問が生まれてこないにので、
その質問を聞くことで教師側の理解もできます。

この質問をしてくるということは、説明したつもりだったけど、
理解するまでに及んでいなかったもしくは、そもそも説明していなかった。
などのように一つの指標にもなります。

詰め込みは危険

また、覚えることをたくさん詰め込んでも飽きます。
それは日本語を学ぶ事だけでに限りません。

言語は覚えてテストが満点だったらいいのか?
そうではないはずです。
テストで良い点取れても、
日本で生活や仕事ができなければ意味がないのです。

質疑応答は、生徒にとっても教師にとっても大事です。
生徒は、質問することで疑問点が明確になり、
また言葉に発するという行為で記憶に残り易くなります。

また、聞いている他の生徒に
とっても記憶に残り易く実用性が高まります。

一方の教師側もコミュニケーションが図り易くなりますし、
どんなところでつまずいているのか、
が理解できるので質問をもらえる方が良いのです。

質問を受けない教師は、おそらく自分に自信が持てなかったり、
質問に答える自信がない場合が多いですが、ちゃんとした回答がなくても、
恥と感じず一緒に考えていけば良いのです。

教師は神様ではありませんので、分からないことだってあるのです。
それを恐れて、質疑応答の時間を設けなかったり、
質問に対して横柄な態度を取っては、生徒の知識は伸びません。

例え、答えが分かりにくい、質問の意図が分からなくても、
曖昧やこ横柄な態度や論点をすり替えるようなことはせずに、
幼少期の事を思い出して初心に帰った気持ちで答えてみては。

質疑応答の時間で多くの生徒から質問を受けれると、
その場の雰囲気も良くなって、少しづつ一体感が出ますし、
真摯に答えてくれる教師だと、記憶にも残り、
生徒にとってもどこかで役立つ日本語を覚えることができます。

物語形式で話すと分かりやすい

文法や暗記はそんなに必要ではない


日本は文法を暗記したり、
知識を詰め込むそんな教育を受けてきたこともあり、
相手にもその方法を押し付けがちです。

日本語教師というのは、
相手は日本の教育方針は通用しません。

ましてや語学を身に付けるには、
詰め込み方式は全く無意味です。

暗記と身に付けることは似て非なるものです。
記憶の仕方も人によって異なります。

リズムに乗せると分かり易い、
好きなものに例えると理解しやすいなど、
記憶の仕方は千差万別です。

教育現場でも教え方については
色々な方法を実践している先生方も多いことでしょう。

その中でも、「物語り」形式で伝えるということの効果が期待できます。

物語には、起承転結があり、
話が進むにつれてスリルやワクワク感を得ることができ、
1つの物語として多くの付加価値を関連付けることができます。

ただただ講義をするだけでは単調で、
その先も面白みがないわけですから、物語形式はオススメです。

日本語をマスターする人は、
若い世代だけではありませんので、
幅広い世代に教える機会があります。

若い人は頭が柔らかい分、吸収力が早いですが、
大人になるにつれて、
理解するまでに時間がかかってしまうことも。

ただでさえ日本語は難しいと言われる言語です。

平仮名、漢字、カタカン、文法、
てにをはなど、多くをマスターする必要があります。

これらを一方的に説明したって分かるはずがありません。

日本人ですら正確に理解できていないのですから、
それを懇切丁寧に真面目に教えたところで実践には結びつきません。

物語調で

馴染みの物語りでも良いですし、
オリジナルの物語を教えるために作っても良いです。
作っている本人がワクワクしてきますよ。

語学をマスターするのは、楽しくないと身に付きません。

リアルな体験エピソードを盛り込んでも良いですし、
妄想の世界の物語を盛りこんでもOK。

楽しい話は、いつまでも覚えているもので、
そんな物語には、よく使う日本語がたくさん出てくるはずです。

喫水の日本人だって、そんなにボキャブラリー多くないですよ。

よく使う言葉ってわりと固定化されています。
まずはよく使う言葉、
文章をよく使うシーンごとに覚えていくのが良いですが、
その方法を毎回実践するのは大変。

なので、物語とセットで覚えるのです。

こういうシーンの時に「ありがとう」と言う、
こんな時に「ゴメンね」と言うことが感情で分かっていけば、後は使うだけ。

「ありがとう」という単語について、
感謝した時に言う言葉ですなんて説明したって分かりっこないですよね。

日本人だって、言葉を覚える時にそんな説明受けていませんし、
生活の中で身についていくものですから、外国人だって同じで、
他国の語学を覚えて話せるようにするには、色んな場面にでくわすことです。

相手が何を理解していないのかを察知する

分からないことは何か?


教えるということは、相手が分からないことを知ることから始まります。

人に教えるということは、
相手の理解していない事が分かるようになることが大事であって、
教える側の自己満足で教えることではありません。

顔に書いてある?

日本人は人の顔色を伺うことが得意なはず。

にも関わらず、いざ立場が逆転して教える立場になると、
優位に感じるのか、自己満足に知識をひけらかす傾向になりますが、
その話は今、相手が知りたい内容でしょうか?

相手が何を理解していないのかを紐解いていく方法を考えてみましょう。

まず顔色を見る。
分からない時は、目が下落ちがちですし、
首を傾げたり、全然話を聞いてない態度になるはずです。

「話を聞け!」と言う前に、
もしかして理解していないのでは?とあなたの話を思い返してみて。

つまらなそうにしているはずです、
それは、理解していないという証拠です。

相手主体に

次に、相手にも話や質問をさせることです。
あなたが一方的に説明しているばかりでは、
相手が理解したのかしていないのかなんて分かるはずがありません。

また「理解した?」とか「分かった?」と言うような質問もダメです。
答えがはい・いいえだけでは、本質的には見えてきません。

次に、理解したことを相手に話てもらいましょう。
アウトプットすることで、頭の中だけにあった理解が整理されて、
何が分かって何が分かっていないのかが見えてきます。

相手に話してもらう時は、
横から話を遮らないようにすることが大事です。

この時に、分かっている部分と分かっていない
部分があることを注意深く観察しましょう。

頭ごなしに「分かっていない」と言い切るには時期尚早。
パーツパーツでは分かっているはずなのです。

うまくリンクされていないとか、あなたの説明が不足しているとか、
なんらかの糸口を見つけていきましょう。

一人よがりで話をしてしまいがちな人、
よかれと思ってたくさん話をしてしまいがちな人、
一呼吸おいて相手の態度や学ぶ姿勢を俯瞰的にみてみて、
きっとどこかで何等かサインを出しているはずです。

中には態度は良好、話もしっかりきいているように見える。
しかし実際には教えたことの半分の理解していない生徒さんもいます。
それは、相手にアウトプットさせてないから気づかなかったということです。
うなずくだけは誰でもできます。

相手の態度・言動を見て理解したのかしていないのかは察知することができますので、
決してワンマンショーになって独りよがりな講義をしないことです。
特に語学が実践あるのみ。
たくさん使って話していかないと学びや気づきはありません。

文法を教えてたくなりがちですが、文法は最低限で、
相手にたくさん話させて、間違っている言葉使いをしたら正す。
それを繰り返していくことで上達も早くなりますよ。

できた時はしっかり褒める!

褒めるは基本


教育の基本は「褒める」です。
過剰に褒める続ける必要はありませんが、
褒めることの大切さを心しておきたいところですね。

日本語教師は、日本語を学びたい外国の人に教える仕事です。

教える側の使命として、より多くの日本語を覚えてもらって、
そして日常生活で苦労しないようにすることが、最終目標です。

日本人は暗記することに注力を注ぎがちですが、
言語をマスターするには実践あるのみです。

これは日本語に限ったことではありません。
日本人はどうしても詰め込んで覚えさせようとしがちしかし、
たくさん使って身に付けてもらうことが大事です。

日本語のボキャブラリーを増やしていくためには、
会話することが必要ですが、教師としては、
よくできていることはしっかり褒めましょう。

褒められるとモチベーションや自信が付き、
よりやる気が出てくるものです。

日本語教師に限らず、教育・子育て、社会人教育、
教育のあらゆる場面で褒めることは重要で、
それは何も子供だけではなく大人にだって必要なことです。

むしろ、大人になればなるほど、人に褒められるということが減り、
できることが当たり前としか思われなくなってしまいますので、
褒めることを心がけてみて。

心理学的にも

あらゆる教育現場において褒めることには心理的効果があると言われています。
褒める行為は、その人の良さ、価値を見つけて、認めていることと同じです。

また褒められた側は、認められた、
期待されたことが喜びやモチベーションに変わります。

褒められたことによる、やる気は持久力があるので、
長く続きしたり、しっかり覚えていたりするのです。

ピグマリオン効果をご存知ですか?
アメリカの心理学者により提唱されたこの効果、
期待をかけた人は、その期待に応えようと無意識のうちに
努力をして期待した通りに効果を上げるというものです。

人は他人に認められたり、期待されたり、
褒められると嬉しいものです。

その心理をしっかり理解して時に使うと、
日本語上達が早くなります。

相手の上達は、教師にとってもやりがいになるのはないでしょうか。

適度に

1つ注意しておくこととして、褒め続ける、
意味もなく褒めることはしてはいけません。

いくら褒めることが良くても、
むやみにやたらに褒めると、真実性に欠けます。

問題が出来た、正しい日本語が使えているなど、
褒めるに値する成果が出た時、
しっかり褒めるようにしましょう。

めりはりをつけることで、褒められるポイントが分かってきますし、
褒められた事は正しく長く記憶に残るものです。

心理効果をうまく活用することで、
相手の良い部分を引き出し、
上達につなげることができますので、
教えることだけに一生懸命になりすぎず、
内面や努力などの良さを引き出すようにしてみると、どうでしょう。